コロナワクチンが普及するに伴って、
重症者・死亡者数は一時期よりだいぶ落ち着いてきてはいますが、
ワクチン接種によって100%重症化あるいは死亡が防げるわけではありません。
それではどういった患者(疾患)がリスクが高いのかを調べた論文が、
9月にBMJという超一流誌(impact factor: 30)に発表されました。
Hippisley-Cox J, Coupland CA, Mehta N, Keogh RH, Diaz-Ordaz K, Khunti K, Lyons RA, Kee F, Sheikh A, Rahman S, Valabhji J, Harrison EM, Sellen P, Haq N, Semple MG, Johnson PWM, Hayward A, Nguyen-Van-Tam JS. Risk prediction of covid-19 related death and hospital admission in adults after covid-19 vaccination: national prospective cohort study. BMJ. 2021 Sep 17;374:n2244. doi: 10.1136/bmj.n2244. Erratum in: BMJ. 2021 Sep 20;374:n2300. PMID: 34535466; PMCID: PMC8446717.
英国での調査をした論文となっており、
内容としては、2020/12-2021/6の期間に、
アストラゼネカ製、もしくは、ファイザー製のワクチンを接種した患者を調査しています。
6,952,240人のワクチン接種者のうち、5,150,310人(74.1%)が2回の接種を終えていました。
ワクチン接種者全体でみてみると、
コロナ関連死が2031人、コロナ関連入院が1929人となっており、
そのうち2回目接種を終えてから14日以上経過した患者が、
コロナ関連死81人(4.0%)、コロナ関連入院71人(3.7%)を占めていました。
この死亡患者及び入院患者についての基礎疾患を調べ、
どの程度のリスクがあるかを調べた図表を一つ紹介致します。
Fig.1 より引用
見慣れない方にはこの表の見方がよく分からないかと思いますが、
簡単に説明しますと、
・左側は、人種や基礎疾患の種類などの患者の特徴、
・真ん中のグラフは、1を基準として線と点が左側に行けば行くほどリスクが低く、
右側に行けば行くほどリスクが高くなる、
・右側の数字は、その特徴を持っていた場合、持っていなかった患者と比較して、
どの程度死亡するリスクが高いか
を表しています。
例えば、一番上の
Two vaccine doses vs one doseをみてみると、
真ん中のグラフの線はかなり左側にあるので、
2回接種していると1回接種のみの患者よりはるかにリスクが低くなることが一目で分かり、
実際右の数字をみると、0.17とあるので、
2回接種している患者は、1回のみ接種している患者と比較して0.17倍の死亡リスク
ということがわかります。
この要領で見ていくと、
このデータの中にある要素で死亡リスクが高い基礎疾患は、
ダウン症: 12.68倍、慢性腎不全stage5(腎移植後): 8.07倍、鎌状赤血球症: 7.73倍、化学療法C (血球の減少リスクが高い化学療法): 4.30倍、介護施設入所中: 4.14倍、HIV/AIDS: 3.29倍、肝硬変: 2.96倍、慢性腎不全stage5: 2.81倍、希少神経疾患: 2.63倍
などが挙げられました。
他にも、パーキンソン病、認知症など様々な疾患で高い傾向が認められています。
これらは入院リスクとも大きな相違は無い結果でした。
この論文では色々と他にもデータを出しているので、気になる方は読んでみてください。
おそらく現時点では、ワクチン接種後のコロナ死亡&入院リスクを出している最も新しく大きい論文かと思います。