新型コロナ・デルタ株の感染が全世界で広がっていて、
ワクチンが変異株（特にデルタ株）に対してどの程度効果があるか、というのは関心ある事項かと思います。
今回は変異株（アルファ株とデルタ株）に対するコロナワクチンに関するビッグデータの論文が発表されましたので紹介したいと思います。
以前にも紹介したNEJM(インパクトファクター：74.699)というトップの医学誌に掲載されたイギリスからの7月末に発表された最新論文を見てみましょう。
Lopez Bernal J, Andrews N, Gower C, Gallagher E, Simmons R, Thelwall S, Stowe J, Tessier E, Groves N, Dabrera G, Myers R, Campbell CNJ, Amirthalingam G, Edmunds M, Zambon M, Brown KE, Hopkins S, Chand M, Ramsay M. Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2 (Delta) Variant. N Engl J Med. 2021 Jul 21:NEJMoa2108891. doi: 10.1056/NEJMoa2108891. Epub ahead of print. PMID: 34289274; PMCID: PMC8314739.
この論文において、
ワクチンの効果とは、感染予防効果ではなく、
症状を呈する感染(症候性感染)の抑制効果です。
例によって論文全体の詳細は置いておいて、また一つだけスライドを取り上げたいと思います(以前にも説明しましたが、あまり内容を書きすぎると著作権で引っかかるようです)。
Lopez Bernal J, Andrews N, Gower C, Gallagher E, Simmons R, Thelwall S, Stowe J, Tessier E, Groves N, Dabrera G, Myers R, Campbell CNJ, Amirthalingam G, Edmunds M, Zambon M, Brown KE, Hopkins S, Chand M, Ramsay M. Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2 (Delta) Variant. N Engl J Med. 2021 Jul 21:NEJMoa2108891. doi: 10.1056/NEJMoa2108891. Epub ahead of print. PMID: 34289274; PMCID: PMC8314739.
Table 2.より引用
結果を簡単に羅列しますと、
ワクチン非接種群と比較しての症候性感染は、
・ファイザー社製ワクチン(BNT162b)接種群は、
1回接種により、
アルファ株に対して47.5%の抑制、
デルタ株に対して35.6%の抑制
2回接種により
アルファ株に対して93.7%の抑制、
デルタ株に対して88.0%の抑制
・アストラゼネカ社製ワクチン(ChAdOx1 nCoV-19)接種群は、
1回接種により、
アルファ株に対して48.7%の抑制、
デルタ株に対して30.0%の抑制
2回接種により、
アルファ株に対して74.5%の抑制、
デルタ株に対して67.0%の抑制
という結果でした。
いずれのワクチンも高い効果は認めていますね。
ただやはりデルタ株になると効果は少し下がります。
また感染すること自体の予防効果を示した論文では無いので、
ワクチンを打ちたくても打てていない人が多い日本では特に感染対策をしっかり行っていくことが重要でしょう。
ただ、それにしても日本のワクチン接種率の勢いはすごいですよね。
私が日本を出発した時(6月初旬)はまだ集団接種が始まったばかりで、
ほぼ医療者しか打っていませんでした。
それが今では日本は2回接種完了者が4千万人を超えてますから、
この勢いだと日本がアメリカ全土の接種率を超えるのも時間の問題じゃないかと思います😲
