【コロナ禍】新婚医師のアメリカ留学記【ニューヨーク州】

コロナ禍で送る海外留学新婚生活日記 (時々真面目な医療ニュースも)

新型コロナと妊婦と赤ちゃんのお話。気をつける点は?子供に報告される多系統炎症性症候群(MIS-C)とは?

 日本のニュースを見てたら、最近こんな記事が上がってました。

www.yomiuri.co.jp

 

まずは何よりも回復を祈ります

このニュースを見て実際に自分の子供もなるのではないかと心配している親御さんも多いのでは無いかと思います。

今までは報告が無かったのに、新たに出てきたと言うところがまた特に心配ですよね。 

 

 

そこで今回はワクチンを打たない小児、赤ちゃんぐらいの年代私が調べた話を書いてみたいと思います。

先に言っておくと私は産婦人科医や小児科医では無く、またCOVID-19の小児患者を診た経験はありません。完全にデータなど調べた情報のみで、実際の診療経過などは詳しくは分かりませんのでご了承ください。参考程度にみていただければと思います。 

 

それではアメリカのCOVID-19の小児患者の2021/7/8のデータになりますが、

https://services.aap.org/en/pages/2019-novel-coronavirus-covid-19-infections/children-and-covid-19-state-level-data-report/

・1週間で小児感染者数は19,482人、COVID-19患者数全体(87,374人)の22.3%を占める

・2週間で累計感染者数4,032,782人から、1%未満の罹患患者数の増加がみられた(31,584人)

・小児感染患者で入院が必要であったのはCOVID-19全体の入院患者の1.3-3.6%

・小児感染患者のうち、入院が必要となったのは0.1-1.9%

・小児感染患者のうち、死亡したのはCOVID-19全体死亡数の0.00-0.25%

・小児感染患者のうち、死亡したのは0.00-0.03%

となっています。

 

このように数字をみてみると、小児患者は徐々に増えてはいて現在は全体の20%を超えてはいますが、実際に入院、さらには亡くなるケースというのはかなり稀なことではあります。

ただ自分の子だったら0%で無いとやはり心配かと思いますし、

この統計では、入院の次の重症度評価項目が死亡なので、いわゆる中等症・重症の患者数がどのくらいいるかはこれでは分かりません

やはり特にお子様がいる家庭では注意をするに越したことは無いでしょう。

万が一、重症化するようなことがあったり、後述する多系統炎症性症候群という合併症を引き起こしたりしたら悔やまれますしね。

 

しかし、このデータというのは小児全体で括っているため、年齢層が広いです。

州によっても定義が異なっており、0-14歳の州もあれば0-20歳となっている州もある上に、基礎疾患を持っていたかなどもデータに無いので、これだけで一概に何かを言うことは難しいかなと思います(自分で持ってきたデータで何も言えないとはなんなんだって感じですが😅)

 

 

 

ですので、さらに年齢層を絞って、赤ちゃんとCOVID感染の対策を、CDCのホームページから一部引用して紹介したいと思います。

www.cdc.gov

COVID-19感染した妊婦から出産された赤ちゃんが、同様にCOVID-19に感染していることは稀

・COVID-19陽性となってもほとんどの場合が無症状ないしは軽症で回復するが、少数ながら重症化の報告がある

母乳によってウイルスが赤ちゃんへ感染することは現在までのデータでは考えにくい

・もし母親がCOVID-19に感染している状態で母乳を与えることを選択する場合は、十分に手洗いをして、赤ちゃんが6feet(180cm)以内にいるときは母乳を与えている時も含めて常にマスクをすること

・2歳未満の子供にはマスクをさせてはならない

・赤ちゃんの中には重症化する報告もあるが、稀なことである。何か治療を受けていたり、早産児はリスクが上昇する可能性がある

 

以上、少し気になる点を引用しました。

詳しい内容などはサイトにありますのでご覧ください。

 

 

また、日本でも厚生労働省から以下を掲載しています。

https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/covid19_20210218_1.pdf

内容を引用しますと、

・妊娠中に新型コロナウィルスに感染しても、基礎疾患を持たない場合、その経過は同年代の妊娠していない女性と変わらない

・新型ウイルスに感染した妊婦から胎児への感染はまれだと考えられている

・妊娠初期や中期に新型コロナウイルスに感染した場合に、ウイルスが原因で胎児に先天異常が引き起こされる可能性は低いとされている

・一般的に妊婦の方が肺炎にかかった場合には、重症化する可能性がある。

高齢出産、肥満、高血圧、糖尿病などが重症化のリスク因子であるという報告もあり、このような背景を持つ妊婦の方は、特に感染予防に注意する必要がある

 

基本的には過剰に心配する必要は無いと思いますが、個人的に気になる点は妊婦の方が肺炎にかかった場合に重症化する可能性があるという点ですね。

妊娠中は妊娠糖尿病や妊娠高血圧などといった疾患を発症することがありますから、そういった方は特に注意が必要なのかと思います。万が一、重症化してしまったら、妊娠の経過にも影響を与えてしまう可能性がありますので。

 

 

 

 最後にCOVID-19の小児患者への合併症として、注目されている多系統炎症性症候群(MIS-C)について紹介したいと思います。

先にも述べたように私は小児科ではありませんので、実際の内容は詳しくありませんので、日本小児学会のコンセンサスステートメントから、そのまま一部を引用します。

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/202105120_mis-c_st.pdf

 

・COVID-19 は小児で重症化することは極めてまれであるが、2-6 週後に COVID-19 に続 いて毒素性ショック症候群または川崎病を疑わせるような多臓器系にわたる強い炎症を 起こす病態(MIS-C/PIMS)が海外では多数報告されている。

・一部に、発疹や眼球結膜充血など部分的に川崎病様の症状を認め、川崎病の診断基準 を満たす例が存在する。しかし、MIS-C/PIMS と川崎病には症状や検査所見に相違点も 多く、同一のスペクトラムに属する疾患なのか、結論は得られていない。

MIS-C/PIMS 患者の 60%PCR 陰性/抗体陽性であったと報告されており、PCR 陰性で も否定できないことには注意が必要である。その場合は抗体検査の実施を考慮する。

・鑑別診断は、川崎病、川崎病ショック症候群(ショックを伴う川崎病)、心筋炎、敗血症をはじめ多岐にわたる。

・初期治療は、免疫グロブリンを中心に選択する。重症度・全身状態に応じてプレドニゾロ ン(またはメチルプレドニゾロン)の併用治療を考慮する。低用量アスピリンも開始する。

・MIS-C/PIMS は急激な症状悪化を来す場合もあり、小児の厳密なモニタリング・集中治療 ができる施設と速やかに連携し、状態が不安定になる前の転院・転棟を検討する。

 

なお、これは完全に余談ですが、昨年のCOVID-19が最初に流行し出した後に小児科医の友達と話をしているときに、

「最近やけに川崎病のような患児が増えていて、コロナの影響とかあるんじゃないかな」

と話をしていたので、この時はまだ病名や病態などが不明でしたが、今ではこのように分かってきたのでしょう 。

 

 

 

内容が長々としてしまいました。

個人的な結論としては、統計のデータ上は過剰に恐れる必要は無いと思います。

子供はそもそもいろんなウイルスにかかりやすいですし、コロナ以外にも猛威を振るうウイルスはたくさんあります(今年で言えばRSウイルス患者が多いようで、やはり時には重症化することもあるようです)。

ただ、やはり自分の子供が万が一入院や、さらには重症化したら大変なことではありますから、周囲の大人も含めてしっかりと対策を行いながら行動をしていくことが重要であると思います。

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