テレビで製薬会社のコマーシャル(CM)が時々流れているんですが、なんか1分以上流れてる気がしたので、よくよく聞いてみると内容がすごく濃い気がしてよく見てみることに・・・
日本の製薬会社の製品紹介のCMは、基本的に市販の薬を15−30秒ぐらいでサラッと紹介して勧めるような感じだと思います
ただアメリカの薬の製品紹介は内容がかなり詰まっている、というより、もはや市販の薬の紹介では無くて、医師でないと処方できない新薬や抗癌剤などの紹介をしてます。
効果についても説明していますが、副作用についても説明しています。
例えば、このヤーボイ+オプジーボという2剤併用療法の薬のCMが流れていたのですが、
これはどういう薬かというと、
皮膚癌、肺癌、腎臓癌などで使用される免疫チェックポイント阻害薬という体の免疫に働きかけて癌細胞を攻撃する様な薬を2種類組み合わせたものです。
非常に高価な薬で、合わせて薬価は100万円以上するのですが、癌に対する高い効果が認められることもあり現在日本でも臨床で使われています(時には薬剤投与のみで完全に病変が無くなることも!)。
ただ、体の免疫に対して働きかける薬なので、全身のあらゆるところに副作用が出現する可能性があり、時には重篤な副作用が起こることもあります。
当然、臨床で患者さんに使用する際には効果と副作用と十分に説明した上で使用しますが、難しい内容ではあるので、予備知識が無いまま説明を受けても、なかなか完全に理解して疑問に思ったりしたことを質問したりは難しいかと思います。
写真では撮りそびれて、筋肉/関節痛の合併症の説明のところしか撮影できてないのですが、
ただ、こうやってCMであらかじめ薬の内容、効果、副作用と症状が出現した時にどうするかなどが説明されていると、それだけで全ては理解できないにしても、そういう薬なんだなという心構えと下調べなどの準備ができた上で主治医の話を聞けるかと思います。
今回は1例にがん免疫の薬の話を出しましたが、他にも抗癌剤や糖尿病の薬など色んなCMがありました。
これは乳癌の治療に使われる分子標的薬というタイプで、アベマシクリブという薬剤になりますが、
同じように効果と色々な副作用が説明されたりしていました。
10種類以上の症状が載っていますね
こちらは2型糖尿病のトルリシティという注射薬の紹介ですね
実際のところ、こういったCMが流れている意図として考えた個人的な考えとしては、
現在は一つの疾患に対しても色々な治療薬が増えてきていて、薬も高価なものが色々な会社からたくさん出てきていますから、製薬会社としては、CMを見た患者さん自身に数ある選択肢の中からこの薬を希望して選んで欲しいという思惑とかもあるのかもしれないですね。
でもちゃんと副作用は説明しとかないと製薬会社が訴訟されるかもしれないので、そこの説明も行っているというところでしょうか。(完全に主観的な考えです😅)
なお、最後に話が逸れますが、新しい治療薬・治療法などは悪徳な診療所だと、個人購入して保険適応外の疾患の患者さんに薬を薄めたりして自由診療で高値で売っていたりするというような話も聞いたことがあるので、そういったところには騙されないように注意してください😓